最近、街行く人々の歩行動作を観察することが趣味になりつつあります。
すると気づいたことに、意外と立脚後期のけりだしをうまくできていない人って多いんですよね。
股関節伸展もそうですが、足趾を上手に使えていないんじゃないかなと思うわけです。
股関節や足趾の蹴りだし動作をうまく使うことができなければ
歩行動作における前方への推進力をうまく確保することができません。
その結果、体幹であったり股関節屈曲筋であったりと
様々なところが代償して別の力が入ってしまいますので
きちんと評価したいですよね。
今日は歩行の蹴りだしをどのように確保すべきかを考えたいと思います。
歩行動作の立脚後期の蹴りだし動作を評価するために必要な技術とは?
さて、 まず臨床家に必要なのは
- 動作観察能力
- 動作を介助する技術
- 動作を操作する技術
です。
その中でも歩行の動作観察をするために必要なことは、
まず歩行周期における筋の働きや関節機構の役割を
十分把握することではないでしょうか?
動作の中における運動連鎖を理解するためには、
解剖学や運動学をしっかりと理解することが大切です。
やっぱりセラピストの基本は解剖学・運動学ですね。
そして、歩行動作の問題点を考えるためには、
歩行動作の運動学だけでは問題点を捉えることはできません。
歩行動作の問題点は、寝返りや立ち上がり動作など
様々な動作でも問題になっているはずです。
例えば立ち上がり動作の時に足趾への荷重が不十分であったりと
いろんなところをチェックしていく必要があるのです。
この複合的な動作分析をできるかどうかが、歩行治療には必要なのではないでしょうか?
歩行動作を分節的に考える方法を教えます
まず歩行動作における評価は分節的に考える必要があります。
パッセンジャーユニット
主に頭部~骨盤帯までのことを指します。
これは歩行時に発生する僅かな姿勢変化に対して
脊柱のアライメントをニュートラルに保ちます。
ロコモーターユニット
両下肢と骨盤によって構成され、パッセンジャーユニットを
支持する役割と前進する役割を担っています。
これらが十分機能的に働くことで、歩行を支えています。
特にロコモーターユニットは体重をしっかりと支えた上で
前方への重心移動を確保しなければいけません。
では前方への重心移動はどのように確保されるのでしょうか?
それは立脚相における重心の位置エネルギーや運動エネルギーが関係してきます。
立脚初期~中期にかけて重心は高低差2㎝という微妙な変化が生まれます。
しかしながらこの変化が重心の位置エネルギーを生み出しているのです。
この重心位置を、左右の各立脚相に偏位させていくことで
前方への運動エネルギーと変換され、
歩行動作に重要な役割を担っています。
運動エネルギーをどのように作っていくのか
これが歩行動作治療に大切になります。
歩行動作の蹴りだしをどのように治療していくべきなのか?
歩行動作の立脚相においてロッカー機構を勉強することは多いと思います。
ロッカー機構とは、踵が地面に接地した時に、踵を中心に前方へ前に転がったり
距腿関節を中心として下腿が前方に移動したりする機能であり
歩行動作の立脚相における前方推進力を確保するために必要な動作です。
前方推進力を確保するためにはこれらの機能を理解するとともに
立脚中期~後期にかけての地面の蹴りだし動作を考える必要があります。
しかしながら立脚後期のけり出しが上手くいかず、
歩行速度が上がらないという患者様はおられませんでしたか?
蹴りだし動作(フォアフットロッカー)は重心の落下を遅らせて
歩行時のLoading Responseで体重を支えるための
遊脚下肢の準備時間を稼ぐ役割を持っています。
そのフォアフットロッカー機能を十分働かせるためには
MTP関節のコントロールやその周囲筋の遠心性収縮を
しっかり働かせる必要があるのです。
歩行動作の治療ではどのように治療していけばいいのか?
前方の足は踵接地、後方の足は踵離地の状態で、
前後に重心移動をリズムよく行います。
こうすることで、イニシャルコンタクトとターミナルスタンスの位置で
蹴り出し、踵接地の荷重応答を促進することが出来ます。
もし寝返り動作や立ち上がり動作の問題点を理解することができれば
歩行動作の蹴りだし動作がなぜでないのかが理解できると思います。
もっと学びたいという方はこちらがおすすめです。
若手理学療法士・作業療法士向け歩行動作分析|筋電図から見る筋活動と治療 – エポックセミナー
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