突然ですが、皆さんは運動療法が法律上どのように記載されているかご存じですか？
昭和40年にできた『理学療法士および作業療法士法』の第2条にこう記載があります。
“「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう”
元々理学療法は運動を行わせることが1つの役目なんですよね。
もちろん、徒手的に治療するのも良いですし、
様々な機材を活用することも全く問題ない素晴らしい治療法です。
その中に運動療法というものがあって、けっこう良い効果をもたらす、
ということを知ってもらえると、必ずあなたの治療のプラスになります。
高齢化社会における運動療法の必要性
この理学療法士および作業療法士法が制定された昭和40年は
現代とは全く違う時代背景です。
ご存知の通り、現代は高齢化が進み、重複障害をもつ患者さんが当たり前の時代です。
病院においては疾患別リハビリテーション料がありますので、
基本的には疾患別にリハビリテーションの指示が出ます。
しかし、その疾患だけをどうこうすれば良いという話ではなくなってきているのが
現代だと思います。
心臓リハビリテーションというのは、
そういう意味で様々なリハビリテーションの橋渡し的な役割を果たせる
と考えています。
心臓リハビリテーションは、そもそも問題のある心臓を治そう、
というコンセプトではありません。
疾病管理のために必要な治療の1つと位置付けられており、
薬物療法や食事療法と並列です。
この、疾病管理に運動療法が必要なんだ、
という認識が理学療法士や作業療法士などのセラピストに
もっと普及することがこれからの時代に求められていると感じています。
運動療法は時代とともに変わる『CureからCareへ』
最近よく言われることですが、
治療を意味するCureを前提とした病院完結型の医療では
成り立たない時代に突入しているといわれています。
慢性疾患が多い高齢者にとっては、
Care（ケア）を基盤とした地域完結型の医療が求められています。
要するに、ケアです。
メンテナンスが必要なんです。
そこに運動療法というのは必ず活用できます。
主力になると言っても良いかもしれません。
慢性疾患をCareしてうまくお付き合いをして、
健康で長生きをする、そんな社会に運動療法は必要不可欠と考えます。
運動療法における適切なリスク管理と適切な運動負荷とは？
理想を言えば、呼気ガス分析付運動負荷試験を行い、
至適運動強度を測定して、
医療設備の整った医療機関で運動療法を行うことがサイエンティフィックです。
それは、今すでに存在する心臓リハビリテーションの標準的な形です。
これからは、病院での心臓リハビリテーションだけでは足りなくなります。
地域でいかに運動療法を活用して取り入れるかが
今後の地域包括ケアシステム時代に必要となってくるでしょう。
つまり、理学療法士や作業療法士は心臓リハビリテーションで言う
運動療法ができることが求められるようになってくるのです。
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