目を閉じて棒のような物(ペンや箸など)の先で、
机とスポンジなど異なる硬さの物をつついてみてください。
もちろん硬さの違いからどちらをつついているか当てることができますよね?
しかし、
棒の先には自分自身の感覚受容器(ルフィニ小体やメルケル盤など)は存在しないにもかかわらず、
棒の先のさらに先にある物体の性質が分かります。
不思議じゃないですか!?
手で触って硬さを当てることができるというのは、
手にはルフィニ小体やメルケル小体がそんざいしているので納得ができますが
手ではなく棒の先にその対象物を感じ取れる。
これがJ.J.Gibsonが提唱した『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』で、
物に備わっている性質を表す『アフォーダンス』と関連があるとも報告されています。
イチロー選手が自分の手のようにバットを扱いボールを打ち分ける、
脚を切断したパラリンピック選手が義足(ルフィニさん・メルケルさん不在)で床反力を感じながらとても速く走ることができる、
これらも同じように『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』の考え方で説明できそうですね。
『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』の臨床的解釈とは?
では『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』を
上下肢の感覚が脱失した脳卒中や体幹下部・殿部の感覚が脱失した脊髄損傷の症例に
当てはめて考えてみましょう。
感覚が脱失した上下肢や体幹下部・殿部には感覚受容器(ルフィニ小体やメルケル盤など)自体は存在しています。
しかし脳の中で感じられていなかったり
脊髄での伝達が遮断されていたりするという点では
『上下肢や体幹下部・殿部=ペンや義足』で、
自分の身体ではない物体で机や地面を捉えているのと同じように考えることができます。
上下肢の感覚が脱失した脳卒中の症例は骨盤周囲や体幹の感覚は残存していたり、
体幹下部や殿部の感覚が脱失した脊髄損傷の症例でも
体幹上部の感覚が残存していたりしますよね。
『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』のように、
末梢部の感覚が脱失していても中枢部の残存した感覚から
末梢部の先の机や地面の硬さや傾きに注意を向けることで、
脳卒中症例の立位や脊髄損傷症例の長座位の能力を高めることができると考えます。
めざせ、イチロー!!気づきのためのセラピストの介入。
この『Wand Phenomenon(魔法の杖現象)』の考え方を応用することで、
ペン先で机の硬さを感じることができるとは気づいていなかった発症・受傷早期の症例に対して、
注意を向ける場所を中枢部に変えていき、
症例に『あ!この感じ方だとバランスがとれる!!』
と気づかせていくようにセラピストが介入していくことができます。
症例が気づいていなかった部分に気づきを与えるということは、知覚を意識して介入するということだと考えます。
このように、教科書通りではなく基礎的な定義に+αすることで臨床的に解釈していくことが重要ですね。
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本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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