四国医療専門学校 理学療法学科の藤沢千春です。
前回は
「患者さんや利用者さんに毎日筋力トレーニングを行っていませんか?」
について記事を書かせていただきました。
今回は、日ごろ臨床で行っている筋力トレーニングが果たして正確に負荷を与えられているのか?といった視点で情報提供をさせていただきたいと思います。
※詳しくは下記のセミナーにぜひご参加くださいseminar.ep-och.com
皆さんは日々の臨床において1日に1回は必ず筋力トレーニングをしてますよね?
施設や病院の機材や規模は様々で、
マシーンがある場合は負荷を正確に設定しやすいですが、
全国的に見ても多くの理学療法士の施設では機材が不足しており、
徒手的な筋力トレーニングをせざるを得ないのではないでしょうか?
または、マシーンを使うほど体力が無く、
徒手的でしか筋力トレーニングを行えない患者さんや利用者さんが対象ではないでしょうか?
そのため、目的や問題点にもよりますが、
上記のようなレッグエクステンションや自重を使った運動(スクワット)を使用することが多いですよね?
しかし、本当にその運動で負荷(強度)が適切かどうかを“評価”していますか?
“1RMが測定できない”、“筋力評価ができない”から
筋力トレーニングの負荷(強度)設定・評価が出来ないと思っていませんか??
以下に臨床的な“1RMや詳細な筋力評価が出来ない(機材や対象者因子によって)”場合の「筋力トレーニング負荷」の評価方法を示します。
「力―速度曲線」ってご存知でしょうか?
これは、①上に行けば行くほど、筋肉にかかる負荷(強度・負担)が大きくなります。
②右に行けば行くほど、関節の運動速度(筋収縮速度)が速くなります。
つまり、筋力トレーニングをした際、①関節速度が速ければ速いほど筋肉への負荷(強度)は少ないということがわかります。
ここでの注意点として、力―速度曲線は随意的な速度ではなく、
不随意な状態を想定してください。
例をあげると、スクワットの1RMが90kgの人が“自重”で最大速度のスクワットをすると運動速度は速くなります。
その人の1RMは90kgなので自重のスクワットはそこまで力を必要としません。
しかし、80kgのバーベルを担いで最大速度のスクワットを行うと、運動速度は遅くなりますが、発揮する力は最大に近くなるということです。
デイサービス施設や自主トレでも関節速度を見るだけで、
きちんと筋肉に負荷がかかっているかどうかも視診で判断できます。
更に注意点として!この力―速度曲線は一連の運動の中で常に変化していきます。
特にスポーツを対象とした場合や極度の低体力者などでは顕著だと思います。
理学療法士としてそれを正確に、どの状態で、どの位置でなど細かく視診にて評価しなければいけません!
臨床において徒手的に筋力トレーニングを行う場合
- 加える力だけでなく、対象者の関節速度がどうなっているかを必ず評価する。
※関節速度が速いということは筋肉へ負荷はかかっていないことが「力―速度曲線」から読み取れる。
関節速度が速い場合は負荷が少ないため関節速度が遅くなるよう力を加えていくことが必要であると思われます。
まとめ
- 筋力トレーニングの際は関節速度から筋肉に与えている負荷が大きいのか小さいのかを判断する。
- 徒手抵抗を加える場合は加える力と“関節速度”から適切な負荷調整を行う。
- 「力―速度曲線」は右に行けば行く(関節速度が速い)ほど力が少なくなる。
- 関節速度が遅いほど加わっている力は大きくなる。
- 関節速度がマイナスになると、関節速度が速くなるほど筋肉への負担は大きくなる。
- 遠心性収縮>等尺性収縮>求心性収縮
文章では少しわかりづらい所もあったと思いますが、理解できましたでしょうか?
この詳細や他の指標など下記のセミナーにてお話しさせていただく予定です。
セミナーでは今回の「力―速度曲線」を動画を用いながら解説していきたいと思います。
可能な限り、皆様が臨床で活用できる筋力トレーニングや評価方法を提供できればと思っています。
- 今後のセミナー
・3月22日ハンドリング(in広島)
https://seminar.ep-och.com/seminar/14567
・4月19日歩行(in香川)
https://seminar.ep-och.com/seminar/14924
・4月26日筋力トレーニング(in広島)
https://seminar.ep-och.com/seminar/15073
・5月17日ハンドリング(in東京)
https://seminar.ep-och.com/seminar/15164
・5月31日装具(in香川)
https://seminar.ep-och.com/seminar/15372
・6月14日歩行(in大阪)
https://seminar.ep-och.com/seminar/15376
・6月21日筋出力(in広島)
https://seminar.ep-och.com/seminar/15389
【藤沢先生の過去のセミナー】
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