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脳卒中片麻痺のリハビリに重要な寝返り動作の要素とは?

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患者様のリハビリの中で、

起居動作が全くできず

寝返りすらうてない

という患者様は少なくありません。

 

しかし、寝返りはうてないけど、

早期離床してまずは歩かせる。

そんな現状があるのも事実です。

 

後輩に

「この患者様は自分で寝返られるの?」

と聞いても

「寝返りの練習よりまず離床させて歩かせるほうが先決かと思いまして」

というやり取りをしたこともありました。

 

確かに早期離床で早期歩行の獲得は大事ですが

背臥位姿勢から側臥位に移行する際の

重心や支持基底面内での重心移動を覚える

ということは

とても重要であることを

今日はご説明したいと思います。

 

脳卒中片麻痺のリハビリで寝返り動作が必要になる理由とは?

寝返り動作とはまずはどういうものなのか

を理解しておきましょう。

背臥位姿勢というものは、

全姿勢において最大の支持基底面を要します。

その中で重心を保持することは難しくありません。

 

ヒトは重力には逆らえず、常に安定した接地面に重心を保持しようとします。

 

しかしながら脳卒中片麻痺の患者様においては、

接地面の感覚障害や身体図式の崩れから、接地面を適切に理解することはできません。

簡単に言えば、ベッドに寝ているはずなのに、半身が宙に浮いているという感覚とでも言いましょうか。

 

安全な臥位なのに、半身の感覚が無くて非麻痺側で身体を支えなければいけないとなると

私達でもかなりの筋緊張を有するのも理解できますよね?

 

だからこそ多くの患者様は

背臥位姿勢から側臥位や伏臥位を取ることを嫌がるのです。

 

しかしながら、このあたりの感覚入力をせず、早期離床、早期歩行で

歩行獲得に向けてリハビリをするということは、重要なことを見落としているのではと

私はいつも警鐘を鳴らします。

 

安定している姿勢から不安定な姿勢に移行する

そういう体験を多くの患者様には経験させなければいけません。

 

それはなぜか?

 

「歩行動作とは安定したところから不安定なところへ

重心を移動させることで成立する」

からです。

 

もちろん、早期離床、早期歩行が悪いわけではありません。

同時並行でリハビリは進めていかなければいけないということです。

 

この寝返り動作がうまくいかなければ、

歩行動作の獲得は成り立ちません。

 

では寝返り動作にはどのような要素が必要になるのでしょうか?

 

脳卒中片麻痺のリハビリで考えたい寝返り動作の獲得に必要な動きとは?

まず寝返りをしようと思うのであれば

重心が側方(ここでは右とします)へ移動し、

支持基底面が背面全体から右背面へ移り、

最終的に右側面となります。

 

右側へ動きやすくするために、

まずは支持基底面を狭くすることが大切です。

 

そのためには、

 

  • 頭を少し浮かせる
  • 寝返り方向に頸部を回旋させる
  • 眼球が対象行へ向く
  • 手を上げる・対側の肩甲骨を離床させる
  • 膝を曲げる

 

等の方法が必要です。

 

次に、重心を右側へ移すには、

  • 上げた頭を右に向ける
  • 手を右に倒す
  • 曲げた膝を右に倒す

などの方法があります。

このとき、右手や右足が寝返りを妨げる位置にないか注意しましょう。

 

このように、寝返り動作を一つ一つの要素に分けて

重心を広いところから狭いところに移動させるということが

寝返り動作の獲得につながります。

 

もちろん、その際に動かなければいけない関節や

筋肉の収縮は促していかなければいけませんが

脳血管障害の患者様などは

自分で動かせないという場面にも遭遇します。

その場合は代償手段を使いますが

その方法は割愛しましょうか。

 

次回は寝返りをした際の心理面についても考慮したいと思います。

もし今日のお話に興味を持ってもらえるのであれば

こちらのセミナーでぜひ感覚フィードバックの勉強をしてみてください。

 

体性感覚フィードバックに基づいた運動学習アプローチ|臥位へのアプロ―チ – エポックセミナー

 

講師:生野 達也 先生(動きのコツ研究所 所長 / 理学療法士)

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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