股関節疾患のリハビリは新人職員がよく担当する疾患だと思います。
しかし、術後のデュシャンヌ兆候や股関節の鼡径部など
問題を呈する症例はとても多いと思います。
このような症状に対してあなたはどのように治療を進めますか?
今日は変形性股関節症の症状の問題や治療の進め方について考えてみたいと思います。
股関節疾患の評価とクリニカルリーズニング|人工股関節全置換術後症例の臨床 – エポックセミナー
股関節疾患でおこる跛行は本当に筋力が原因なのか?
理学療法士なら新人の時に必ず担当することがある股関節疾患ですが、
股関節疾患の治療として有名なTHAやBHA、
γ-nailなどの術後の患者様を担当した際、早期離床で歩行練習を促すと
このような症状が起こることがあります。
もちろん術後の軟部組織の状態にもよりますが
退院前までこのような症状が残ることがあります。
さて、それは本当に股関節周囲の筋力低下が問題になるのでしょうか?
実は、股関節疾患の治療は股関節周囲の筋力低下だけでは
説明できないことが多いです。
なぜなら、変形性股関節症を呈するということは、骨盤の動きにも注目しなければいけません。
最近話題のFAI(Femoroacetabular impingement 以下FAI)も、骨盤と大腿骨頸部のインピンジメントによって起こります。
つまり股関節周囲のみではリハビリは難しいのです。
股関節の鼡径部痛として知られるFAIとは?
FAIはどういう症状かといいますと、
股関節を深く屈曲することで起こる股関節前面のつっかかり、つまり感です。
症状が悪化すると、股関節の屈曲で前面に疼痛が発現します。
これは股関節におけるインピンジメントが起こっている可能性を示唆します。
実はこのFAI、レディ・ガガさんや松本人志さんがこの病気で手術をされたことでも有名です。
「股関節でインピンジメント?」と馴染みがない言葉に困惑される方もいらっしゃるでしょう。
どこで起こるかというと、ココです。↓
イメージ付きましたか?
場所としては寛骨臼と大腿骨頸部の間にある股関節唇や軟骨の軟部組織が挟み込まれることで生じます。
これらは日常生活の中にも支障をきたします。
しかもこの症状は放っておくと、関節唇損傷や軟骨損傷にも繋がり、
変形性股関節症の原因にもなりかねない症状なのです。
股関節疾患の術前評価で覚えておきたい変形の基準とは?
変形性股関節症にはレントゲン写真にて関節の隙間(関節裂隙)の広さから
病気の進行程度を判断します。
前期股関節症→初期股関節症→進行期股関節症→末期股関節症と4段階の病期で進行します。
それぞれの病期の状態を確認してみましょう。
〇前期 臼蓋形成不全を認めるが、関節のすり減りが見られないもの
この時期は臼蓋形成不全など股関節形成に異常がみられますが、
関節の形(関節軟骨)は保たれています。
この時期は長時間歩行後に脚がだるい、疲れ易いなどの症状があります。
〇初期 関節のすり減りが軽度みられるもの
この時期になると関節軟骨が磨耗して関節の隙間が狭くなりはじめます。
骨の周囲がX線で白くなって見えます(硬化)。
この時期には筋力強化などのリハビリテーション治療が必要ですね。
関節の変形の進行を予防するために関節温存手術を行う場合があります。
〇進行期 関節のすり減りが進行したもの
関節軟骨が広範囲に変性磨耗して関節の隙間が明らかに狭くなります。
この頃になると骨のなかに嚢胞(Cyst)という空洞ができたり、
骨のトゲ(骨棘)ができて変形はかなり進行しています。
人工関節置換術の適応が多くなります。
この頃にはしゃがみこみが困難になったり(可動域制限)、関節屈伸時の痛み・歩行時痛が残ります。
〇末期 関節隙間が消失し、変形が高度に進行したもの
関節軟骨が完全に消失し関節の裂隙がなくなります。
関節軟骨のすり減りが広範囲となり、関節裂隙が明らかに狭くなります。
この頃になると軟骨下骨に嚢胞(Cyst)という空洞ができたり、
関節周囲の骨のトゲ(骨棘)が大きくなったりして関節変形は進行していきます。
進行すると安静時の痛みが出現し日常生活動作にも支障がでるようになります。
治療としては主に人工股関節置換術を行います。
病期によって症状は変わります。そして手術対象になる病期があります。
本来であれば詳しく書きたいし、画像も添付したいところですが
詳しくはセミナーで学んでみてくださいね。
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