この記事では、寝返りの介助方法のポイントをリハビリのプロである理学療法士がお伝えします!
寝返りの介助方法でお悩みの方は必見の記事となります。
- 要介護の高い方や身体に障害がある方などの、寝返りの介助をしたいけれど、思ったよりも難しい…
- 頑張って横向き(側臥位)にしてもすぐに倒れてしまう
- 力が要るので、腰を痛めそうで怖い…
もっと楽に寝返りの介助ができるコツないのかな?
そんなお悩みの方にリハビリの現場のプロである理学療法士が寝返りの介助方法をお伝えします。
寝返りを一晩で何回くらいするか知っていますか?
第50回日本理学療法学術大会において発表された「健常者における睡眠中の寝返り回数と日間変動の検討」によると
寝返り回数は1日あたり24±9.8回
1時間あたりの寝返り回数は3.9±1.6回
ということが分かりました。
どうです?
思ったより多かったですか?
では寝返りが出来なくなるとどうなるんでしょう?
寝たきり状態に陥ってしまうと、最も注意しなくてはいけないのは、
「褥瘡(床ずれ)」です。
褥瘡は、体の中の一部分に長時間圧がかかり続けると
血流が滞ってしまい、
皮膚が赤くなったり、傷ができてしまうものです。
傷が深くなると皮膚だけでなく中の組織にも侵襲が及び、
骨が飛び出てしまうほど重症化することもあります。
褥瘡ができると痛みを伴うだけでなく、
感染症などのリスクが高くなります。
私たちは、無意識のうちに寝返りをうったり、長時間椅子に座っているときはお尻を浮かせるなどして、
同じ部位に長い時間の圧迫が加わらないようにしています。
このような動作を「体位変換」といいます。
しかし自分で体位変換できない方は、体重で長い時間圧迫された皮膚の細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、これにより「褥瘡」ができます。また皮膚の表面だけでなく、皮膚の中にある骨に近い組織が傷ついている場合もあります。
(日本褥瘡学会HPより抜粋)
また褥瘡だけでなく、精神的な機能低下の危険性があります。
そして廃用症候群を起こす危険性が高まってしまいます。
なぜ寝返りができないのか考えてみましょう
①手足のマヒがある
脳卒中などで手足に麻痺があると
麻痺がある方の手足を動かしにくくなります。
手足を思うように動かせないために、肩関節や肩甲骨、骨盤もうまく動かすことができず、
背中が張り付いたように動かない、という状態になってしまいます。
②腹筋などの体幹の筋力低下がある
寝返るときに特に重要なのが腹筋、
骨盤を中心とした体幹をねじろうとする腹斜筋、
肩甲骨を前に押し出そうとする前鋸筋、
肩を内側に寄せようとする大胸筋という筋肉です。
身体を動かすときに特に重みがかかるのは肩甲骨と骨盤です。
横向きになったとしても体があおむけに戻ってしまうのは、
骨盤を寝返り側にねじっていこうとする腹筋の力や
肩甲骨周りの筋力が低下している可能性があります。
超簡単 寝返りの介助のポイントはたったの3つ
寝返りポイント①膝を立てる
寝返りだけでなく、すべての介助においてのポイントとなるのが
「体をコンパクトにまとめる」
ということです。
寝返る際は仰向けから横向きの状態へ重心を移動させる必要がありますが、
この時床に触れている面積(支持基底面)が狭ければ狭いほど
動かすのが容易になります。
重心を動かすためには、 支持基底面を小さくしなければいけません。
かつ、重心位置は体の中心に移動させて来る必要があります。
極論で言えば、V字バランスのように
支持面が一点集中で骨盤の上に重心がある状態を作れれば
誰でも寝返りを誘導することができます。
寝返り動作に対する治療方法について~背臥位姿勢~ - EPoch Official Blog
下の図を見てください。
↓
膝を立てることで支持基底面が狭くなったのが
おわかりでしょうか?
こうすることで重心移動が軽くなり、
簡単に寝返らせることができます。
寝返りポイント②両手をしまう
ポイント①と同様に、
腕が床に広がっていると床との接地面積が広くなり
寝返らせる時に重たく感じてしまいます。
また、腕の重さに肩が引っ張られてしまいます。
脳卒中の方などで麻痺側の腕の位置を
忘れてしまうorわからない方もいますので、
介助する時は声掛けをしてあげましょう。
寝返りポイント③寝返り方向を見てもらう
見えないところに身体を動かすのは
誰でも緊張しますよね??
目で見ることで自分の動きを認識し、
恐怖心を軽減させることができます。
また、目線を誘導することで
頭部の屈曲を誘導することができます。
そうすると腹筋に力が入りやすく
本人の力を最大限に発揮させることができます。
寝返る方向へ自然と全身が動いていきます。
寝返りの介助が難しければ、介護グッズを上手に使いましょう
- 背抜き
- 体位変換シート
- グローブ
前述しましたが、寝たきりになると「褥瘡(床ずれ)」に気をつけなければなりません。
そのため、介護者は2時間おきの体位変換をしなくてはいません。
自動体圧変換の機能の付いたマットレスもありますが、
接地面はあまり変わらないため、
圧は逃がせても熱は逃がせないことも多いです。
そうなると汗をかき、皮膚が湿潤し、衛生状態が悪くなってしまう原因になります。
また、意外と介助量が多く、腰痛の原因になるのがベッド上の位置移動です。
平行移動ですべての体重を持ち上げて動かさないといけないため、
もしかすると一番介護側にとってリスクの高い介助かもしれません。
持ち上げずに移動させようとすると、
摩擦により褥瘡の原因になってしまうため、ご法度です。
これらを解消するためのグッズは、
シートタイプやグローブタイプなど、様々な形状があり、
つるつるとした摩擦を軽減する素材でできているため、
体とベッドの間の隙間にも手を入れやすくなっています。
少しそうして背中に刺激を入れてあげるだけでも、圧や熱を和らげることができます。
シートを挟み、体をずらせば持ち上げなくても
摩擦を作ることなく体をずらすことができます。
今回は寝返りのポイントをお伝えしました。
寝返りの他にも起き上がりのポイントもご紹介しています。
是非ともお読みください。
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何でもお聞きください。
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