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バランス=コア はもう古い? 頸部が与える姿勢制御への影響


【バランスとは】

支持基底面と身体の重心との関係を適切にコントロールする能力である。








お世話になっております。EPochの久保田です。

さて、今日は学術論文のご紹介です。
今日ご紹介する記事はこちら。


【頸部固定が動的バランスに及ぼす影響】
→リンクはこちら



これは2007年の愛知県理学療法士会誌に掲載された論文ですね。


私達の身体の平衡機能は、神経生理学的用語の反射階層理論をよりどころとして、
原始反射・立ち直り反応・平衡反応の用語によって構築されています。

また、それらの働きに加え、筋出力、可動域、疼痛、認知機能、呼吸循環機能なども、バランス能力に関与しています。



立ち直り反応や平衡反応が、なぜ成立するのか。

それは人の身体は建物構造のように固定されていないということ、
そして常に外的刺激に対して中枢からのフィードバック・フィードフォワード機構によって
姿勢を保持する働きに働いているに他なりません。



臨床の中で、よくバランス能力が低下している方は、体幹機能を鍛える必要があるという意見を聞きます。

確かに、末梢を自由に動かすためには中枢部の固定性は必要です。


ですが、本当にそれだけなのでしょうか?




今回ご紹介する記事は、健常人の頭頸部をギプスで固定し、
その状態でFRT(Functional Reach Test)を測定するというものです。


これですね。





話は前後しますが、皆様ご存知の立ち直り反応という現象は、
基本的に、可動域が確保されているということが前提にあります。





このように、骨盤・胸腰椎・頸部の脊柱に可動性がしっかり保たれているからこそ
立ち直り反応が働き、支持基底面の端に重心があっても、安定した姿勢を保っていられるのですよね。




じゃあ、その一部を固定するだけで、どれだけバランス能力が低下すんだろ???
と考えた論文なのです。



結論から言いますと、FRTのリーチ量は頸部を固定することで明らかに低下し、
動的立位バランスが低下した
とのことです。



臨床の中で、動的立位バランスが低下するということは、どういうことか?





それは転倒しやすいということです。





今回は健常者(コアスタビリティーが低下していない)で実施したからこそ解りやすい結果になりましたね。

私も小さい頃、体育の授業で首にカラーをまいた状態で平均台を渡りきることが出来ませんでした。



高齢者の転倒を起こしやすい3大原因は


・可動域制限
・筋力低下
・感覚障害


ですが、実際、問題点が混在して、正直なかなかわかりにくいですよね。
もしかすると、筋力は弱いけど、その人にとっては十分なのかもしれない。
可動域を少し変えるだけで、安定性が増加するかもしれない。

そもそも問題点はコアではないのかもしれない。




検討の余地ありですね!





じゃぁ、実際、どのように頭頸部へのアプローチをすればよいのでしょうか?

これってなかなか論文でも取り上げられていないんですよね。




もしご興味がございましたら、EPochセミナーでご紹介しております。
12月9日(日)
タイトル:【バランスを考える】
~バランス能力低下の問題点は、下肢の感覚・ストラテジーだけではない~

講師:藤野文崇先生(理学療法士)

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講師の藤野先生は、大阪府士会の中でも特に情熱をもって臨床に取り組んでおられる先生で
以前お話をさせていただいた際に、とても共感できるアプローチ内容でした。

運動器疾患だけでなく、中枢神経疾患、神経難病にも適応でき、
とても汎用性のある治療コンセプトになっています。

ぜひ一度ウェブサイトに足を運んでいただけると嬉しいです。



今日も最後までお読みいただきありがとうございました。