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魚氷に上る

こんにちは、EPoch IT 部の坂田です。

カーステレオから流れるラジオでは
土曜日からまた寒波が訪れると言っていました。

EPoch Official Blogパソコンのお天気表示も雪模様が荒ぶっています。
すごく…寒そうです…。
それもそのはず。ちょうど今が立春です。
まさに一番寒い時です。



初春の末候、魚氷に上る (うお、ひにのぼる) 季節です。
私の好きなアーティストの曲にも
(うお)()に上り 耀(かが)よひて』というタイトルがあります。

春が近づき暖かくなり、
溶け割れた湖面の氷の上に魚が飛び出してきて、
きらきら輝いている、そんな意味のタイトルです。

なんだかタイトルを見ていると
とても楽しそうな雰囲気の曲に思えます。
ニコニコサンフラワーキッスな感じです。



ところが、そんなタイトルの印象とは対極的に、
歌詞がとてつもなく暗いです。
ここでは全文は掲載出来ないので引用という形で
少しだけご紹介します。


~ (前略) ~

深海と(まが)波折(なお)りの深さよ
天井(あまい)はない そして底もない
故に 光差す道理など無く

ああ 並み居ている
見ろ あの長雨(ながめ)
深海で降り続く琥珀色の
日影にも似た()の雨を

(あまね)し日よ 光をくれ 誰か

~ (後略) ~

ここでいう『日影』とは『日差し』のことです。
『日陰』と書くと日光の当たらない暗い部分のことを指しますが、
『日影』と書くならそれは太陽の光のことです。

『影』というのは本来目に見えるもののことを指していました。
『影も形も見えない』とか『面影』と表現するときの『影』と同じです。
『景色』や『風景』の『景』という字にも『かげ』という訓読みがあることからも分かります。



この曲は今の時期の寒さに相当するくらい冷たくて寂しい歌ですが、
曲のジャンルが京都メタルと称されている感じであるとか(作曲者談)、
歌詞における古典的で綺麗な日本語の表現であるとか、
そういったところをすごく気に入っています。

辞書片手に読んでいるだけでも勉強になる歌詞です。全体的に暗いですが (笑)



今や使われなくなってしまった、
あるいは誤用が慣用化してしまった、
そうやって淘汰されていった日本語の中に、
沢山の美しい言葉が(うず)もれてしまっているはずです。


デジタルな時代になってきたからこそ、
日本語本来の侘寂(わびさび)とか、(おもむき)といったものをもっと知りたくて、
もっと沢山の言葉に触れていきたいと感じるのです。